抹です。
今は5/15深夜、大阪#ORGMENTに出発する直前にこの記事を作っています。

特にきっかけらしいきっかけはないんですが、
アルバム「諦めのススメ」の全曲解説を書きました。
一気に全てを載せると、読むのに疲れちゃうと思うので、
ワンマンのちょうど1ヶ月前にあたる"5/26"までに全曲+αの解説を掲載しようと思っています。
ぜひご覧頂き、その上で再度聴いてもらえたら嬉しいです。

抹 a.k.a. ナンブヒトシ

▼諦めのススメ購入リンク
タワーレコードオンライン
http://tower.jp/item/4202897/%E8%AB%A6%E3%82%81%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%82%B9%E3%83%A1

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▼「諦めのススメ」初期コンセプト

このアルバムは、ラッパー抹の遺書みたいなもんでした。
2014年夏に「アルバムを出す」と宣言し、1年が経った2015年の夏。
仕事に忙殺された俺にとって音楽は蔑ろになってもいいものになっていました。

そんな折に盟友・KO-neyから偶然連絡が入り、話の流れでビートを貰うことに。
それが後に"はたらこう"と"諦めのススメ"になるトラックでした。
この2曲は実に早く書き上がり、また、この2曲を書き上げたとき、
一気にアルバムの全体像が降りてきて「1stアルバムのリリース」に現実味を与えました。

アルバムコンセプトは「諦め」。
29歳で単体作品をリリースしていない俺が、ラップを諦めて、
普通の人間になるための禊が、このアルバムの最初の形でした。
その「諦め」の意味もアルバムを作っていく中で変化していくんだけども。

曲を並べてみてエグいメッセージが多いのは、
どうせこれ作ったらラップ辞めんだし、言いたいこと全部言おう。オブラート?そんなもんいらねーよ。
という半ばやけっぱちメンタルで作詞を進めたからです。

アルバム情報解禁の際に公開したテキストの中にこんな文章がありました。
>このアルバムで歌うのは『正しい”諦め”のための最後のひと詰め』。
>自分か、はたまた自分によく似た他人に向けてか、
>妬みも嫉みも恨みも辛みも、まとめて全部をライムする。
完全にメンヘラ。しかもパワー系。

初期コンセプトはこんな感じだった「諦めのススメ」。
はてさて、一体どんなアルバムになったんでしょうか。

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▼01. intro -first business-

KO-neyに「イントロっぽいドラムブレイクを作ってくれ」という
暴力的なオーダーで誕生したのがこの曲。

修正なし。一発OKでした。
アー写の雰囲気と近くてとっても気に入ってます。

KO-neyと俺はどちらも1986年生まれ。学年違いの同い年。
通ってきたサウンドや、芸事で身を立てていく過程でした覚悟の形が似ていて、
常々信頼していたのだが、このイントロをスッと提出してきたときその信頼は一生の物になった。
KO-ney、これからもよろしくね。

随所に散りばめられたアカペラは自分の過去の代表作(だと思ってる曲)から。
普通ならスクラッチで処理する演出をMPCでやることに意味を見出して、
「パッドを叩いてる感を出してくれ」とこれまた暴力的なオーダーを出しました。

outroの項にも改めて記述すると思うけど、introとoutroは対比構造にしたくて、
intro → 過去作のアカペラ
outro → 「諦めのススメ」収録楽曲のメロディー
をそれぞれ利用しています。

タイトルは「音源無料配布文明からの飛躍」と「ラップを仕事にするという意思表明」を意図している。

[アカペラ出典]
・RAP STAR(TSUDURA ver.) - らっぷびと, AO, ytr, Romonosov?, 妖狐, 抹
・back again remix - 抹 × K's
・Good Times - Especia × ナンブヒトシ

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▼02. はたらこう

俺は仕事が好きでした。
特にこの曲を書いてる時は本当に本当に大好きでした。
それこそ、ラップすることよりも。

ミュージシャンは仕事していることを恥ずかしがり隠す傾向にあると思います。
俺はその姿勢こそが恥ずかしくてダサいと思ってます。
だって仕事をしている人の背中は何よりもかっこいいじゃない。
職業に貴賎があるのは仕方ない。
けど、貴だろうが賎だろうが、労働している瞬間は誇りを持っているはず。

ただ、自分は、仕事をしている自分に正直になる過程で、
音楽で食えない自分への悔しさや惨めさも浮き彫りになっていきました。
その気持ちはタイトル曲「諦めのススメ」に反映されています。

この曲がアルバム制作で1番最初に完成したなあ。
ラップも何も悩んでいないてトラックに対してまっすぐなアプローチで展開してる。
日本語を崩さないでちゃんと聞こえるように、でもテクニカルに。
「好きな音楽と会社がブラック」は"電波少女 - HIPHOP LIFE3"のNOBYバースからの引用。
サビを最後に作ったんだけど、ライブの鉄板曲「女々しい男」を超える事を明確に意識して作った記憶がある。
果たしてこの曲がどこまで育つのだろうか。2017年の夏には答えが出ているはず。

なお曲中で描写したfuckな仕事エピソードはほぼ事実に基づいています。
異常なスケジュール、安請け合いで死にかけたプレス作成、クレームメールの処理。
おまけに店舗の床で眠る同僚と俺と上司。
2016年の俺のHIPHOPを形成する、最も尊い想い出たちです。

big up そうさん、たけさん、おおき、おかだ、なるみ、そしてよしむらさん。

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▼03. 諦めのススメ

「来年の今日後悔するよりも さあ、諦めのススメ」
この曲はこのフレーズに集約されている。

諦めという単語はネガティブに解釈されがちだけど、
ここで歌っているそれはニュアンスがちょっと違う。

夢とか目指すゴールがあって、でも「ちょっと自分には才能ないかもなあ」と思うなら、
さっさと諦めて別のものを探すほうが、深追いするより遥かに幸せになれると思う。
この時の諦めはネガティブなものではなくて取捨選択の言い換えに過ぎないと思います。
学校の先生やテレビなんかは「夢を追うことを強要」しがちじゃないでしょうか。
1つに打ち込んだ経験は何にも代えがたいけれど、
例えば1年ごとに部活を変えて色んな挑戦をする経験もきっと同じく何にも代えがたい。

それに、夢を追う行為は「目標以外の全てを犠牲にする覚悟」に乗っかったチキンレースだ。
覚悟がない人は早々に下車することをおススメする。
ただし、下車を恥じる必要はない。
下車を世界中から責められたとしたら、間違ってるのは世界のほうだ。
「誰のでもないお前の人生」を「誰も笑えない」。

ちなみに一般的な下車タイミングは22歳、25歳、30歳と言われている。
先輩いわく「30超えてまだ降りないやつは一生降りれない」そうだ。
今年で俺もめでたく降りれない組の仲間入り。うれしいやらかなしいやら。

この曲では「はたらこう」とは逆に、言葉を潰して音に近づけるようにしてラップした。
でも結局"ことば"のままですね。Raqくんとか昔のJinmenusagiはすごいと思う。
ライムをスタンダードに語尾へ配置したリリックを
どこまでそうじゃなくフロウできるかという挑戦もしていた。

アルバム初期のデザインコンセプトは「諦めのススメというタイトルの新書」だった。
今思えばそれにしないでよかったなと思うけど。ただメッセージは新書っぽいと思う。

なお、随所に散らした「ち〜ん」というリンの音は夢を供養する元夢追い人が鳴らしてるという設定。

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▼04. 今夜はブギウギ無礼講 feat.コレガゼンリョクズ

コレガゼンリョクズは地元で出会った仲間で組んだグループ。
有名芸能人の息子とメジャー落ちベーシストと元ホームレスと俺の4人組。
曲自体は2014年くらいにできてて、アウトプットがなくぶらんとしていた。
俺はこの曲をすごく気に入っていてアルバムを出すって決めた瞬間に
みんなに相談して収録の許可をもらった。

当時の俺たちは全員「サラリーマンって超すげー」っていうメンタルだった。
だって、毎日スーツを着て満員電車に乗って上司に怒られたりするんでしょ?
半端ないよ。ラップすることなんてそれと比べたら100倍楽だと思う。

そんなテレビ的なサラリーマン観を持っているコレガゼンリョクズは、
自然(?)とサラリーマンを応援する曲を沢山作っていた。
「今夜はブギウギ無礼講」はその1つ。

出世コースの登竜門・重役だらけの飲み会の末席に招かれた主人公。
上座の社長が言った「今夜は無礼講だ!!」という台詞を鵜呑みにして
飲み会で大はしゃぎ。結果轟沈する。という曲。
昭和か!!!!!!!

この曲は1番からラスサビに向けての時系列になっている。
サビ前のBメロに被せたガヤが徐々に酔っ払ってることに気づいたでしょうか。

あと、普通の楽曲制作だとアカペラは20本、多くて30本くらいなんだけど、
この曲は90本くらいアカペラが存在して、そのほとんどがガヤだった。

ちなみに1番を歌ってるサナダタクミは人生3作目のラップ。
元ベーシストだけあってリズム感がいい。
MCニートは完全に志村けん氏の遺伝子を継承してる。
Bメロの中心を担うボーカルの尾形さんは元ホームレス。いい声してる。

これがコレガゼンリョクズです。よかったらこれからもチェックしてね。
Twitter : @koregazenryoku
SoundCloud : https://soundcloud.com/koregazenryokuzu/

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▼05. HERA KILL TRAX

世界最強のダンスミュージック、それがfunkot!!!
国産funkotに日本語のラップが乗った楽曲はこれが地球で2番目。
(1番目はFUNKOT ANTHEM、3番目はEnaker's Highと丸省版FUNKOT ANTHEMのはず。)

この曲もかなり昔に作った。
funkotにおけるWorld Wide Words的イベント「MEGA DUGEM」というのがあって、
そのドキュメント映像用に作り下ろしたのがこの曲でした。

当時の俺はとってもヘラってて、毎日死にてぇ死にてぇって思ってました。
でもfunkotとそこから派生するクラブイベントが俺を殺しかけたヘラを殺してくれた。
「いやー、なんて素晴らしいんだ!!メンヘラは全員funkot聴け!!」
って大真面目に思ってたから作った曲ですね。

ある程度以下のヘラはクラブで酒飲んで楽しく遊べば治ると思います。
ヘラを断ち切る第一歩はベッドからケツを剥がして重たい家のドアを開けることです。
そして何より大事なのは、「ヘラってんのはお前だけじゃないぜ」ってことです。
ヘラってる友達やまだ友達になってない誰かに向けてのメッセージ。
死ぬより楽しく殺されたければfunkot聴きに来い!!

曲中に2回登場する「BAD BOY日本語版」は"Enaker's High"の中でも使用している。
それどころか、俺の知らないところで俺の知らない曲にも使われている。
一見使い回しに見えるこの行為も声ネタサンプリング文化の中では普通のことなのである。

Shisotexさんに「funkotっぽいと思うものを全部入れて作って下さい!」とお願いした記憶がある。
その結果、楽曲の中でbpmが大きく変わる「ダウンビート」というfunkot特有の展開や、
ティッケー!アーユーレディー!以外の声ネタ、
更にはイントロアウトロにある超長尺のドラムループがこの曲にてんこ盛りになった。
このままDJユースもできる作りなのでfunkoter各位、ぜひフロアでかけてください。

俺はfunkotがやっぱりどうしたって大好きなので、
俺のアルバムを聴いてくれるみんなに啓蒙するために収録した。
もっとも自己中心的な曲。

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▼06. yrst feat.ハシシ, Jinmenusagi, NIHA-C

愛すべき「あはんれいでぃお」の面々と作った、糞ゲスおちんぽチューン。
ちなみに曲名は「やらして」と読む。

古典ネットラップに「いいっしょ」という曲がある。
俺はこの曲が大好きで大好きで仕方なくて、いつか「いいっしょ2」を作りたかった。

この曲を解説する前に原典の説明をすると、
女の子に「エッチしようよ、ねえいいっしょ?」って聞く曲。最高。
それの2016年度版がこちらです。
もう少し進化してて、奇しくも全バースセックスしまくってる目線になってる。

BメロはJinmenusagiが作詞した。
ライブ会場で「誰見に来たの?」って女の子に聞くときって、
大概自分のこと見に来てるって確信持ててるんで、この曲で一番スケベな部分だと思います。

このメンツでやることは決まってたんだけど、実はトラックやテーマが二転三転している。
「basic stance」みたいなリミックスブームを作れる曲にしよう!!とか
エモいアンセム系の曲にしよう!!とか
糞雑魚ラッパーが勘繰っちゃうシャドーボクシングシットにしよう!!とか。

でも全部しっくり来なくて、Jinmenusagiに相談したら
「いやー、Skypeでいつも話してる感じがいいんじゃないスカ?」
って言われたので、本当にSkypeでよく話す内容にした。

電波とかうさぎとかニハシは売れてきてるし、やっぱちょっと丸い歌詞で来るかなー?
とか思ってたら全然尖ってて、おじさんは彼らのキャリアがちょっとだけ心配になった。

あと、このメンツでこのテーマのラップをK'sのビートでやるって、
糞狭いカルチャーの中で起きたちょっとした事件だと思います。

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▼07. 女々しい男

捨て曲生まれ、ライブ育ち。俺の初めてのクラシック。

この楽曲は
初出、PV版、アルバム版
と、3バージョン存在してる。
初出は2014年に3ヶ月連続でリリースしたSHRINESというEPシリーズに収録したもの。

自分で設定した締切に死ぬほど苦しめられた俺は、
ついにわかりやすいライムを放棄し、ショートショートをリズミカルに読み上げる。
という手法に手を染めた。

製作段階では圧倒的に捨て曲候補だったが、世に出してライブしてみたらバカウケ。
当時は不思議がっていたが、そりゃこんだけわかりやすいコール&レスポンスがあれば盛り上がりますよね。

トラックを作ってくれたQujorreさんは本物の職人。
元のビートで録ったラップに対して、全パートのドラムを打ち直してくれました。
俺はもっとQujorreさんと曲を作りたい!!!

きっと偶然この曲を作ってなかったら本日のMC抹はラップをしていなかったと思う。
この曲に助けられた現場は数知れず。
この先の未来でも長いことお世話になる予定です。
「はたらこう」は、偶然生まれたこの曲を超えるために、意図的に作ったフロアバングシット。
果たしてここまで育つだろうか。

曲中で語られている恋愛模様は俺の過去の恋のいいところを集約したキメラ。

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▼08. skit -phonecall-

これは誰にでも振りかかる可能性のある虚構。
ピー音で隠された部分には好きな名前を入れてリアリティを補強して欲しい。

ようするに、「共通の友達が逮捕された」っていうボイスドラマ。
10年もHIPHOPやってりゃ、大概のサグいファンタジーと身近になる。
でも、そのファンタジーをファンタジーとしてすら認識していない皆様が、
2016年の今日、一定数いるわけで。また、それに喰らう。
友人の逮捕、リリースの取り止め、そしてHIPHOPを辞める。
そう、これは誰にでも振りかかる可能性のある虚構なのです。

このskitは、次曲「HIPHOPって何だ?」を前にして"認知してない勢"が、
HIPHOPが内包する暴力性や残酷さに気づくお手伝いをするために作った。
ボイスドラマなので演者をcvとしてクレジットしている。

なお、冒頭で口ずさんでいる曲はコレガゼンリョクズのサンデーナイトフィーバー。

[登場人物]
かえで the dopest master(cv : かえで公)
MC HIDE(cv : 抹 a.k.a. ナンブヒトシ)

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▼09. HIPHOPって何だ?

「どうして?」を「どうして?」のまま聞くことは許されない村社会のお話。

価値観が多様化する現代。
ご多分に漏れずHIPHOPもその姿形を変えて、統一されたイメージというのは形成しがたくなった。

社会人の友達が指すHIPHOPと、ハードコアな友達が指すHIPHOPと、
後輩が指すHIPHOPと、先輩が指すHIPHOPと、あのDJが忌避するHIPHOPと、
テレビの深夜番組でOAされるHIPHOPと、俺が体感するHIPHOP。
「その全部がHIPHOPです」なんて、徒競走で手を繋いでゴールするみたいで反吐が出る。

華やかにショーアップされたクラブシーンの影には色んな悲しみが溢れてる。
後輩にダサいTシャツを売りつけて生活するあの人、プッシャーになって逮捕されたあいつ、
ラップは死ぬほど上手いのに生きるのが下手な彼、顔の広さが全ての糞野郎、
インターネット上がりと揶揄され憤るもやしっ子、縦社会に心折れ田舎に帰った友達。
「その全部がHIPHOPです」なんて、真顔で言うやつはとんでもない馬鹿に違いない。

「何がHIPHOPで何がHIPHOPじゃないか」なんて誰に聞いても答えてくれない。
たしかに分母はでかくなって、生活できる人数は増えたけど、どこかでずっと気持ち悪さを感じてる。
「シーンの繁栄のため」という同調思考の根っこには、「特定の誰かを食わせる方法論」が隠されてる。
コレジャナイ感から目を逸らして訳知り顔で後付のロジックを展開するのはHIPHOPじゃないと思う。
もしかして、あのカッコいいHIPHOPは極一部を除いて広告代理店の食い物になったんじゃ。

ところで、
 「差別が産んだ土着音楽は日本で村社会化し、
  そこで生まれた差別の対象であるインターネットラッパーの俺」
って今世界で一番のHIPHOPだと思わない?

という曲。

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▼10. afterwords to kureha

そもそもkurehaっていうのはですね……
最もリスペクトする漫画家・曽田正人先生によるバレエ漫画『昴』の登場人物・呉羽真奈のことです。

呉羽ちゃんはこの漫画の主人公・宮本すばるをバレエの道に引き入れた張本人。
すばるの鬼気迫るダンスを見た瞬間から彼女の「天才」に対する嫉妬と憧れにまみれた人生が始まる。
母がバレエ教室の講師であることが起因した強い自尊心を持ち、
それを破壊した「天才」のライバルであるために弛まぬ努力を続ける真奈を、
すばるは(無自覚に)軽々と置いてけぼりにする。
自分は「天才」の露払い役どころかそれでもいれないと自覚した彼女はいつしか、
ライバルではなく「天才」の友達でいようとする。

俺は自分に「結構なレベルのラップ技術」があると思っています。
と、同時に、俺はすばるみたいな天才じゃないとも思っています。
ここまで自覚できている俺は、呉羽真奈みたいに諦められるのか。
諦められるんであれば、"なに"を"どう"諦めるのかってこと。

俺はアルバム制作を通して自分の答えを見つけました。
それを呉羽ちゃんに教えてあげるお手紙とか近況報告の曲です。

このトラックの原型との出会いは2012年。
Pentaphonicとして12ヶ月連続リリース企画に挑戦していた時期のことだった。
K's × Pentaphonicでの制作用に提案されたビートの2つのうちの1つがこれでした。

時は流れて2015年。
K'sからあの日使われなかったこのビートが送られてきた。
きっとこいつは俺のことを待っていたんだと思う。

この曲はもともと「Priscilla」というタイトルで、内容も真逆にするつもりだった。
『自分とは別の天才が出てきたことで安心と不安に襲われる天才』の曲。
モチーフは昴に登場する「世界最高のバレリーナ」プリシラ・ロバーツ。
「天才」のすばると同じ景色を見る事ができる、作中唯一の人物。

でも昴を読み直して、このアルバムに必要なのはプリシラ・ロバーツじゃなく呉羽真奈だと思った。

「俺は歌うよ、もう決めたんだ」
メンヘラの諦観の念はアルバム制作によってこうして無事に「諦め」られたのである。

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▼11. outro -fin?-

超マイメンのK'sくんにお願いしたアルバムのアウトロ。
お題は「終わりなんだけど締めないで」でした。
イントロと同じく暴力的オーダー。

イントロでは言語的な面から俺の過去を切り取った。
アウトロではサウンド面で俺の今を切り取るものにしたかった。
なので、諦めのススメの収録曲をK'sによる演奏でアレンジし、
1つの楽曲にまとめてもらった。
使用楽曲とその部位のチョイス基準は「この盤を象徴するとK'sが思うところ」。
その結果、一番耳につくのは「今夜はブギウギ無礼講」のサビフレーズでめっちゃ笑った。

K'sは俺が地球で一番信頼を置いているミュージシャン。
KO-neyとは違った角度から俺の求めるHIPHOPを作ってくれる人。
次もその次も、10年後にもいい曲を、いいCDを一緒に作りましょう。

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▼12. to be continued!! feat.ORIGAMI Ent.

あ、ORIGAMI Ent.は終わりません。あんしんしてネ。

終わりを想起させるアルバムは制作の過程で始まりの象徴になりました。
と、いうことは最後にヒキが必要だと思いました。
そのヒキはきっと未来でも一緒に歌ってるORIGAMI Ent.が必要だとも。

このビートは「高橋留美子原作アニメのEDテーマ」っぽくて大好き。
「まだまだ続くよ」ってテーマなのに全員終わりを意図させるラップ書いてるの不思議。

俺のバースで列記している作品は全部、
一度打ち切られたけどファンの熱量で復活した作品です。

2016年も我々をよろしくお願い致します。

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